平成26年度 第1回講習会報告

テーマ:姿勢・姿勢制御と股関節機能障害

 

日時:平成26年9月7日(日)

 

講師:建内 宏重先生 (京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 助教授)

 

今回は講師に京都大学大学院の建内宏重先生をお招きして「姿勢、姿勢制御と股関節機能障害」と題して講義して頂きました。関節に対する様々なストレスがその人の姿勢が原因で起こっているという視点から実技を踏まえてお話し頂きました。

 

 

午前中の講義では、まず正常の姿勢を一度確認し重心位置による姿勢の変化が持続的に続くことで変形性関節症を起こす可能性があると聞きました。また、実技では受講生同士で姿勢を評価し、実際に脊柱アライメントを変えることで重心位置を左右の股関節中心に移動すると、どのような変化があるかを体験しました。程度は様々ですが各自変化を体験することができました。

その他にその人の姿勢からどういう事が言えるのかを運動学を基に評価していく方法を分かりやすくご講義頂きました。その姿勢から各関節、筋にどう影響しているかを考えるいい機会となりました。さらに脊柱の運動学に関する話を聞くことができ普段イメージしにくい脊椎の動きを理解することができました。

 午後からは運動連鎖についてご講義頂きました。姿勢から運動連鎖を考える際、各関節の動きと姿勢制御はそれぞれ別に考えるという指導を頂きました。その姿勢は神経学的に起きているのか運動学的に起きているのかを混同しないことが重要である事がわかりました。

次に股関節の適合性についてお話しがありました。大腿骨頸部の形状と骨盤臼蓋の形状から運動学的にどういった事が言えるかを分かりやすく教えて頂きました。また、適合性を改善する方法は、実技を織り交ぜて体験することができました。股関節の周囲筋については股関節の各運動角度においてどの筋がどの程度働くのかを教えていただきました。股関節屈曲において腸腰筋や内転筋の収縮度合いの違いを感じることができました。

その他に脊柱、骨盤、股関節の協調作用や歩行時の股関節の働きを症例を交えて説明頂きました。普段の臨床でもみている変形性股関節症や人工股関節術後の症例の話しも聞くことができ明日から使える知識になったと思います。

あっという間の時間ではありましたが、股関節と姿勢の関係を改めて理解すると共に運動学の知識を一層深めることが出来るいい機会となりました。また、患者が今訴えている症状はどこが原因で起こっているのか、姿勢を改善することで長期に渡って症状を予防することが重要であることを学ぶことができました。一つ一つの事を復習し、明日からの理学療法に反映してきたいと思います。建内先生、本当にありがとうございました。